罪の意識は少なからず誰にでもあると思う。
罪滅ぼしのために人生が存在しているのかもしれない。
全人類に平等に与えられた死という楽園に向かって……。(カム作)
原罪と自罪
どうせまた消去すればいい。
私はゴミ箱のアイコンに失敗作をぶち込んだ。
これでもう256回目だ。
だが私の満足いく作品はなかなか仕上がらない。
いっそこのまま逃げ出してやろうか。
……いや、それができるのならもうとっくに実行しているはずだ。
ドアの向こうにまだ人の気配がする。
私はまた同じことを繰り返そうとしているのか……。
パソコンの電源を落とし、近くに置いてあるカッターナイフを手にする。
やめろ……やめてくれ……。
しかし心の声は体まで届かず、逆に神経を通る過程で全く正反対の行動をとる信号へと変えられていくのである。
ゆっくりと……音を立てず慎重にドアノブを回し……。
ここで一言。
「あっ、原稿が仕上がったんで中へどうぞ」
すると男は振り返り恥ずかしそうに会釈してドアをくぐる。
そして私の右手は男の背中へ吸い込まれていく。
これでまた原稿の〆切りが延びるぞ、ふふ。
私はゴミ箱のアイコンにそれをぶち込んだ。