人には向き不向きというものがあるのだろう。
それを見つけて能力を伸ばすべきなのだろう。
より良い明日を目指して……。(カム作)
○○への第一歩
「やばい、遅れる!」
飛び起きたぼくは着替えてすぐに家を飛び出した。
「ギリギリだな……仕方ない、あの道を通るか」
ぼくは大通りからほとんど人が通らない裏道、通称『ヤクザ通り』へと曲がった。
この道はまさに地獄だ。
ヤクザ風の事務所が所狭しと並んでいる。
「でも本当に凄いんだろうな。一度火がついたらすぐに人が死んだりするんだろうな……おっかねぇ」
ダッシュで数々の事務所をどんどん通り過ぎていくぼくの足は走りながらも震えていた。
あと200メートルほどで大通りへと出れる。
「よし、大丈夫だったな」
ぼくは駆け抜けた。
「はあ、はあ……」
たぶん人生で一番速く走っただろう。
そして、それを活かしてぼくはマラソンランナーへと転向した。