バレそうなことでも、案外バレないことがある。
そういう時こそ油断は禁物である。
慎重かつ大胆な行動を心がけるべきである。(カム作)
上手な謀反の仕方
じいが今日もやかましく叫んでいる。
「殿ーッ!殿ーッ!」
じいは昔、腕の立つ武士だったらしい。
だがそんなことは、今の私には関係ない。
なぜなら私は今、城を少しずつ壊しているからだ。
じいの戯言に付き合ってはいられない。
私の計画が成功すれば、江戸の民達は幸せに暮らすことができる。
そして私の名も後世に語り継がれるだろう。
まさしく一石二鳥だ。
これほどオイシイ話は滅多にない。
まさか殿が自ら、自分の城で謀反を起こすなどとは誰も思うまい。
自然と笑いが込み上げてきた。
「ハハハハハ!」
……いかん、いかん。
大声を出しては誰かに見つかってしまう。
そう思いながら、念のために後ろを振り向くと、そこには刀を振り下ろそうとするじいの姿があった。
「ハハハハハ!」