願いとは努力し達成させるものである。
ただ願っているだけでは妄想遊びに過ぎない。
生きている内に、より多くの願いを実現させたいものである。(カム作)
願い
ぼくの思い出は、とても浅いものだ。
何かを食べ、そして眠って……。
限りない未来が、昔のぼくにはあったはずだ。
それなのに今はもう、ただの老人に過ぎない。
昔に戻れるものなら、喜んで戻りたい。
まあ、誰もが皆同じような感覚でいるのかもしれないが……。
妻にも先立たれ私はもう独りだ。
病気になっても誰も看病などしてくれはしない。
死ぬ勇気もない。
いつからこんな生活をしているのだろう。
つい20年前までは出世という道を歩いていたのに……。
出世の道から外れたぼくは、ただ何をすることもなく暮らしてきた。
友達ももう死んだか寝たきりか……遊ぶことなどもっての他だ。
逃げ出したい。
この世の中から逃げ出したい。
それだけが今のぼくの願いである。
疲れ果てたこのぼくの、たったひとつの願いである。