お金は遣うことでようやく価値が出るのである。

持っているだけならば宝の持ち腐れに過ぎない。

有意義に遣って、潤いのある生活を心がけよう。(カム作)

 

 

お金の遣い方 

 

「ラッキー!」

と言いながら100円玉を拾ったこの男の名は健。

健は近くの自動販売機の前に立ち、自分が持っていた20円を足し、缶ジュースを1本買った。

チャリーン、チャリーン。

おつりだ。

この自動販売機は100円で買える型だった。

えー、100円玉が2枚……っと。

ん?

「ラッキー!」

機械のミスらしい。

健は気をよくしたのか、家に帰る途中で宝くじを買うことにした。

自分の所持金から100円足して、1枚買った。

 

当選発表日──

「当たってる……当たってる!」

1等3億円だ。

その内1億円で家を建てた。

もう1億円で企業を起こした。

残りの1億円は銀行に預けた。

 

数年後──

長引く不況で会社は倒産。

その時にできた借金3億円は、家と銀行の預金、会社でもうけた金で払った。

健の所持金、只今120円。

最後のジュースでも飲みに行こうと歩いているところだ。

ふと、健は足元を見た。

100円玉が落ちている。

「ふっ」

健はそれを拾い上げ、思い切り遠くへ投げ飛ばしてやった。

「金なんて物は一瞬の幸せを買うための道具に過ぎん」

健は100円で本当の幸せを買ったのだ。

 

 

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