とあるソーシャル・ネットワーキング・サービスにて1行ずつ交代で書いた小説。
平成の侍たちが繰り広げる、今世紀最大の大決戦が幕を開ける。
誤字・脱字以外は、ほぼ原文ママで掲載。(カム・やんも・他)
Oh,ロドリゲス!
拙者、橋本ロドリゲスと申す。
平成生まれの平成育ちであり申す。
将来の夢は侍になること、ただ1つ!
今日も剣道に励むでござるよ。
にんにん!
ロドリゲスという名は特に意味はござらん。
さて、今夜も下半身の剣術に励むでGOZARU!!
下半身と言っても下ネタじゃないですよ!!
鍛えているのはチンチンですから!!
まず拙者の訓練はファブリーズを下半身に振り撒くところから始まるのであった。
その時!ホセが言った!!
「メェ〜〜〜」
ホセとは拙者の下半身の通り名でござる!
セバスチャンは見た!
セバスチャンとはまさしくヨハン・セバスチャン・バッハ音楽家でござる。
彼の奏でるピアノの音色に合わせて、ホセが踊りだした。
「メェ〜〜〜」
さすがに体力の限界を感じた。
にんにん!
忍耐こそ我が人生であり侍魂でもあるのだ。
「ボアノイチ!」
おっと、ついつい故郷の挨拶が出てしまった。
すると隣人たちが突然走り出して、面食らった拙者は隣人たちに向けてとっさに手裏剣を3枚投げた!
手裏剣は隣人たちには当たらず……。
ジョニーは戦場へ。
アルフレッドは南極へ。
そして高橋名人はこう言った。
「屁のつっぱりはいらんですよ!牛丼一筋300年!早いの美味いのやっすいの」
そうだ、吉野家に行こう。
そのとき京都の毛利名人は、足の親指の爪の臭いを嗅ぎながら17連射の偉業を成し遂げていたのである。
そんな拙者も今年で17歳。
一気に牛丼を腹に入れると、天啓がひらめいた。
「そうだ」
ドン・キホーテに行こう!
ドン・キホーテは安いからなあ。
拙者は早々にドンキで地図を買い、原付で旅に出た。
「ドンドンドンドンキ〜ドンキホーテ〜」
うっかり口ずさんで1回休み。
そんな拙者の口の端には、紅しょうががついたままだった。
食べ終わった牛丼のどんぶりを見てふと思う。
なぜどんぶりをパクってしまったのだろう……。
どんぶりの底にはなぜか毛利名人の紋章が入っていた。
ま、まさか……これは毛利名人の……。
我、丼投棄、毛利必殺心誓原付加速!!
原付走らせいざゆかん!京都へ!
着いたと思ったら滋賀だった。
まあ滋賀たねぇか……。
せっかくなので琵琶湖で泳いで行くか
琵琶湖は近畿の水がめと教わったことがある。
よし、琵琶湖の水面を走ってみよう!
行くぞ!我が原付、流星号よ!
私は原付で水面を激走しながら丼に水を集めた。
その水の汚いこと汚いこと……。
水はみるみる丼を腐らせ、私の左腕にまで侵食してきた。
と思ったのも束の間、私は自らの目を疑った。
なんと毛利名人の顔が水面下から浮かび上がってきたのだ。
毛利名人はビニール袋に入った犬の糞を踏んだ様な微妙な表情をしている!
私が呼びかけると毛利名人は微妙な表情のままこちらを向いた。
「おまんがこの湖を汚したか!!」
カッと目を見開き鬼の形相で叫ぶではないか。
毛利名人は琵琶湖の守り神だったのか!?
私は腐った左腕をかばいながら原付を止め、毛利名人を睨み返した。
その睨み合いは3日間にも及んだ。
そして今世紀最大の大決戦が今まさに始まろうとしていた。
毛利名人が口を開く。
「よく見ると優しい目をしているね。それに良い肉付きじゃないか。大臀筋なんか引き締まってて良いね!足なんてディープインパクトのような美しさじゃのぅ」
にっこりと不気味な笑みを浮かべ、毛利名人は近寄ってくる。
あまりの威圧感に一瞬気を失いそうになる。
小柄なはずの毛利名人がやたら大きくみえる……!
「今宵は冷えそうじゃのぅ」
毛利名人が呟いた、と思った瞬間!
毛利名人は粘着質な紐を私めがけて投げつけてきた。
「こんな初歩的な策に掛かってたまるか!」
私は全速力で紐を避けつつ毛利名人の懐に飛び込んでいった。
パッ、と光が閃き何も見えなくなる。
私の一振りは毛利名人を捉えた感覚があった。
毛利名人は真っ二つ、おめでとう。
「喜ぶのはまだ早いぞ」
なんと私の腐った左腕が見る見るうちに毛利名人化していくではないか!
「まさかそちらからわざわざワシの間合いに入ってきてくれるとはのぅ」
にヤり。
次の瞬間、左腕が木っ端微塵に。
飛び散った肉片が全て小さい毛利名人にッ!
こ、こいつは不死身なのか?
いや、不死身とかそういう問題でもあるまい!
どこかに弱点はないものか……。
よく見ると、毛利名人の耳の上らへんには、申し訳なさそうに白髪が生えていた……!!
「毛利さん、白髪生えてますよ」
「Oh!ロドリゲス!」
今しかない!
無我夢中で毛利名人に向けてロドリゲスバスターを放った!
「やん!」
「や、やん?!」
「その通り」
雷鳴と共に雲の上からやんは地上に舞い降りた……!!
そして物凄いスピードで地面に叩きつけられた。
地面に開いた大穴から紫色の煙が這いずるように溢れて来る!
毛利名人はその煙の影で見る見るうちに分裂していた。
一方そのころ毛利名人の実家では、家計がまさに火の車でありました。
毛利一族は1日1食もままならないほど貧しかった。
しかし心は豊かでした。
そんな折、三男の名人が琵琶湖で修行をしたいと申し出たのです。
申し出を受け、ただちに国連は審議に入りました。
その結果がまさに今、この死闘の引き金となったのです。
毛利一族は特殊能力により三男が危機にあることを察知していました。
そのとき暴カニ男は1人屋根の上で毒電波を受信していました。
「親父殿!名人(なひと)が近江の湖にて危機に面しておりまする!」
「よし、助太刀して参れ」
シュタタタタタ!
さてさて、そうして暴力二男の『やん』は雷鳴と共に紫色の煙に巻かれて登場したのです。
「やん!」
「や、やん?!」
「何をしにきたのだ、やん兄者!」
「これを届けに参った」
毛利がやんから渡された紫色の箱を開けると……一回り小さい黄色の箱が入っていた。
その黄色の箱の蓋には、『開けるな危険!』の文字が……。
「外が紫色で中が黄色か……、秋だし焼芋食べたいなぁ」
「びっくり仰天!開けたらそこには焼芋が!」
「隙あり!!」
焼芋が叫んだ。
そして時空の彼方に両者吹き飛ばされたし。
ふと気がつくと、拙者と毛利名人は大きな焼芋の切り口の上に乗っていた。
「ここなら誰にも邪魔されずに思う存分戦えるでござるな」
「口上は無用でござる!」
拙者は颯爽と刀を構えた。
毛利名人は刀を鞘に収め抜刀構えで静止した。
勝負はおそらく一瞬で決まる……。
夜風に乗って焼き芋のかおりがした。
「参る!」
拙者の体は真っ二つになった。
……失敗した拙者の策は、地面の焼芋を刀でえぐり出して目の前に散らすという思いつきであった。
焼芋の香ばしい匂いに吸い寄せられた我が真っ二つの体は、地面からえぐり出された焼芋とともに熱々の石の上に乗せられた。
「こりゃたまらん!」
拙者は余りの熱さで美味しいステーキへと化した。
それを見た毛利名人は刀を光らせ、大量の涎を垂らした。
その涎が毛利名人の刀を錆付かせた!!
「もぉ〜、やめてや〜。大事にしてたんやで、コレ〜」
「焼芋パンチ!!」
見事、拳が焼芋の香。
「焼芋返せ!」
毛利名人は鬼の形相でこちらを睨み付けている。
一方の拙者は焼芋の香りが全身から漂っている。
ロドリゲスに天空から星が降ってくる。
毛利名人は物凄い勢いで回転し始めた!
まるで地球の自転のごとく。
ならば拙者はさしずめ月といったところか。
風邪ひいてもたがな!
そう、拙者は薄着体質なのである。
くしゅん!
秋風にたなびく花粉かしら。
それともこの焼芋の香りか……。
まさか拙者は焼芋アレルギーなのか。
そうこうしている内に毛利名人の回転が収まった。
「よし、充電完了。そろそろ決着をつけようか」
「焼芋ってそんなにキーポイントなん?」
「ふふ、今に見ていろ糞坊主」
芥川龍之介でも読もうかしら。
「貴様は今、芥川龍之介でも読もうかしら。と思ったな?」
いっ、今こいつは俺の心を読んだのか?
「そう、私は充電式心読み取り人間なのである。よって貴様に勝ち目はもう微塵もないのだ」
春の風が桜の花びらを舞い散らせるごとく、毛利名人は華麗に宙を舞い、拙者の心臓を一突きにした。
「ん?あれは俺が生まれた馬小屋……」
頭の中でこれまでの人生が走馬灯のように思い出されてゆく。
これが死か。
そこで拙者の意識は完全に途切れた。
1年の年月が過ぎた。
拙者の意識はそこからまたうごめき始める。
ゆっくりと目を開ける。
「よし、橋本流奥義・自己輪廻転生の術、成功なり」
拙者は毛利名人への復讐を誓い、意識が戻った1才から修行を始めた。
みっちり修行だ15年。
「頼もう」
「何奴?!」
「あれから15年、毛利殿も老いたものよ」
「ま、まさか貴様……」
拙者は鼻で笑い、剣を構えた。
毛利名人は咄嗟に空高く舞い上がった。
「残念だったな!私は今から宇宙の彼方にて修行をしてまいる!これぞ毛利流奥義じゃ!10年後にまた会おう!」
そして月日は流れ……。
2人はまたも琵琶湖にて対峙していた。
ピンと張り詰める空気が場を盛り立てる。
それと同調するように拙者のイチモツもピンと張り詰め盛り上がる。
一陣の風が2人の間を通り抜けると同時に、互いに剣を構えたまま相手に一直線に向かって走り出した。
わずかに毛利の太刀筋の方が速い!
拙者は間一髪で半歩後ろに下がった。
毛利の剣を華麗にかわし、渾身の一太刀を食らわせた!
「ふっ……橋本殿よ、見事じゃ。しかし勝負は私の勝ちだな……ぐふ」
そう言い残し、毛利名人は絶命した。
だが気になるのは毛利の最後の一言だ。
『しかし勝負は私の勝ちだな』
どういうことだ?
拙者は何事かと辺りを見回してみる。
……そうか……そういうことだったのか……。
なんと、拙者のピンと張り詰めたイチモツが地面に落ちていたのだ。
拙者の鍛えすぎた下半身の安全は、半歩の回避では確保できなかったというわけか……。
「Oh,ロドリゲス!」