二度寝はとても気持ちがいいものだ。
誰にも邪魔されない空間であればあるほど、気持ちがいいものだ。
と同時に、無防備であることも忘れてはならない。(カム作)
焼死千万
とある夕方、部活から帰って疲れていたわたしは、自室のベッドに倒れこみました。
ものの数秒で意識がなくなり、すぐに眠りに就きました。
……次に目を開けたときには、すっかり日も沈み、外は暗くなっていました。
まどろみから抜け出すよりも二度寝を選択。
枕元のコップに入った水を飲むと、先ほどよりも深い眠りに就きました。
遠くの方から声が聞こえます。
叫び声でしょうか。
次第にはっきりとその声が聞こえてきます。
「火事だーッ!」
わたしはすぐに飛び起き……たつもりでしたが、なぜか体が動きません。
意識が戻ってくると、酷い煙の臭いに咳き込みます。
部屋中から火の手が上がっていて、体が文字通り焼けるように熱いです。
わたしはベッドに寝たまま、全身が痺れていることに気付きます。
そして恐怖の中、だんだんと意識が薄れていきます。
朦朧とした頭で考えました。
共働きの両親がいつもお金に困っていたこと。
枕元のコップは誰が用意したのか。
この体の痺れは一体何なのか。
全ては炎の中に溶けて消えていくのでしょう。
わたしの肉体と共に……。